新型ウイルスの蔓延により、 私たちのライフスタイルは大きく変わりました。
ビジネスやプライベートで海外がいつも身近にあった旅行フリークたちも、 突然の引きこもり生活を強いられることになり、ストレスフルな日々を過ごすこととなりました。
とはいえ、改めて振り返ってみると、 海外旅行が普及し始めたのは1980年代以降のことで、 今のように気軽に行けるようになったのは、 ここ20~30年といったところ。
その間、 経済発展で豊かになった国の人々が大挙して地球上を飛び回り、 世界の隅々まで簡単に出かけて行けるようになったことで、 環境に膨大な負荷をかけるようになっていました。 自然に対してのみならず、 オーバーツーリズムという言葉まで生まれたように、 旅行者が訪れる地域社会にマイナスの影響を与えるような問題も引き起こすようになりました。
そのような状況下で突然訪れた新型コロナという災いは、 ある意味、 人類を立ち止まらせるために自然界が鳴らした警鐘だったのかもし れません。
人の移動が制限されたことで、 深刻な大気汚染に悩んでいた都市の空気が浄化されるなど目に見え る改善点もあり、移動を減らしても仕事が成り立つことや、資源の無駄遣いなどに気付くきっかけにもなりました。
以前と同じように自由に外出できるようになっても、 自分たちの行動に、 もっと責任を持つことを意識せざるを得なくなったのです。
持続可能な開発目標として、SDGsが国連で採択されたのは、2015年のこと。実際はそれ以前から、 人類が地球にかけた負荷はすでに「持続可能な」 レベルを超えていました。「サステナブル」 という言葉は現実から乖離しており、これからは「 出来る限り自然の状態に戻す」必要があるのです。
大量生産・大量消費を未来永劫続けていけないのは、 モノだけでなく、旅行も同じです。「激安」を求めるツアーは、 人間を疲弊させます。
なかでも人件費が安い国のツアーは特に、コストを抑えるために、 現地スタッフの給与や労働時間などの待遇が犠牲になります。
私たちが取り組んできたインドも、 同じような状況になっていました。それを改善して、 双方が満足いく関係を作りたいと考えたことが、 私たちが自ら旅行事業を始めた理由でもありました。
ステレオタイプ的なよくある量産型のツアーではなく、 目的に特化したオーダーメイドの旅の手配を行ってきた会社として、私たちは、 参加されるお客様に最大限の満足を感じて頂くことと同時に、 現地スタッフが誇りを持って仕事に取り組める待遇の改善にも努め てきました。
しかし、ここにきてふと立ち止まったとき、 これまでの自分たちの行動を改めて問うことになりました 。
環境に対する配慮は万全だったか。快適さを追求するために必要以上に資源を無駄にしていなかったか。 現地スタッフが働く環境に十分に配慮ができていたか。 それをお客様にきちんと説明し、理解を頂き、協力を求める姿勢を保持していたか。
業務を休んでいた期間は、これまで自分たちがやってきたことを今一度振り返り、 将来について考える貴重な時間を頂けたと思います。
そうして出てきた意見を精査し、 私たちは今後の新しい方向性を打ち出すことができました。
「お客様の心地良さ」に、「環境に対する配慮」と「 すべてのスタッフの適正な待遇」 がマッチする最適解を求めること。
お客様にも私たちの理念を十分理解して頂き、充実した時間を過ごして頂くこと。
私たちが提供するのは、モノではなく体験であり、さらに毎回手配が異なるオーダーメイドであるため、仕事の内容は、常に新しいチャレンジです。
その一つ一つに丁寧に向き合っていくことが信頼を生み出し、その積み上げが人を作り、会社を作っていくのだと思います。
近い将来インドは、日本を追い越し、アメリカ、 中国に次ぐ世界第3位の経済大国になります。 そのとき日本はどうなるのか、 その先にはどんな未来が待っているのか。
上昇気流に乗ったパワー溢れる国や人々からエネルギーが得られるよう、彼らと良好な関係が築けるよう、 日本とは違い過ぎる文化や経済面での橋渡しになることを、 私たちは目指していきます。
当社のスタッフには、 ご依頼頂く様々なニーズに応えられる豊富な経験と人脈があり、 この仕事に情熱を持って取り組む人間が揃っています。
安心安全はもちろんのこと、未来を拓く人間の繋がりを作る体験を、 これからも世界の人々にお届けしていきます。
私たちの仕事に関わるすべての人に感謝しつつ・・・
セレブ・インディア代表
宮本洋子